Let's  cook  Thailand

歯科ボランティア (ちょっと今回はマジメです)

日本にはNGOや青年海外協力隊など様々な政府開発援助団体が存在し、活動をしている。
その中の一つに「KADVO(カドボ)」と呼ばれる東南アジア地域を中心に歯科活動を行っている団体がある。(→KADVOの詳細はこちら)
KADVOはタイでの活動が今年で5回目。私の通っている語学学校からも「通訳ボランティア」という形で何人かが参加をした。

場所はバンコクより約450km、イサーン(タイ東北)地方最大の都市、コンケーン県。その街の中心からバスで約1時間強走った所にある、とある小学校であった。コンケーンはイサーン最大の都市ではあるが、人口は僅か16万人。ここからバスで1時間も走れば、周りには何も無いまさに田舎である。道路を水牛が歩き、人々の時間がゆっくりと動いている、そんな所である。ここの学校の体育館が臨時の診療所になったのだが、当然のように床は板張りされていない。そして窓も無い。ここで靴をも履いていない生徒たちを硬いテーブルに寝かせ診療をしていくのである。

 私達は私を含めタイ語通訳ボランティアとして行ったのではあるが、なにせタイ語を勉強して数ヶ月の身である。簡単なことは伝えたり、受け答えすることは可能であっても、完全な意思疎通を不自由なくするのにはちょっと無理がある(と、いうか不可能に近い)。まさか、辞書片手に通訳するわけにもいかない。
以前よりタイ語を勉強している人でさえ、やはり医療現場となると専門用語はつき物で、かなりの苦労をしいられたのが現実であった。 私が理解できる「○○持ってきてちょうだい」と言う文章でさえ、○○の中に専門用語が入ってくると完全にお手上げである。仮にタイ語が分かったとしても、その日本語訳を根本的に知らないのである。
一度「アマルガム(アマーンガン)持ってきて」とタイ人の先生が、日本人の助手の方にタイ語で言っていたのを通訳したのだが、私にはそのアマルガムと言う物体が何かがさっぱり分からない。つまり、それが合っているのかも分からなかったのである。さすがにこれには参った、参った…。

また、患者は学校の生徒に留まらず、付近の住民、寺の僧侶、そして尼僧までと幅広い人が診療に来ていた。タイではこの僧侶に女性が触るのはご法度。また、僧が女性に直接触るのもご法度なのである。しかし、患者が僧で、医者またはその助手が女性と言うことは多々あり、見事な戒律違反であった。ただ、どうやらいくら僧だとは言ってもやはり、このような時にはその戒律を遵守する必要は無いようで、このことを問題視する人はいなかったようであった。


今回は日本からの団体とは別に、地元コンケーン大学とバンコクのマヒドン大学の歯科医療チームも合同でこの活動を行っていて、スタッフの数は相当数であった。一箇所、一箇所にキチンとした医療器具が揃い、器具の衛生管理も当然ながらしっかりとしていた。タイでは保険制度が皆無に近く、一般市民が歯科医療を受けるという事は非常に大変なことなのである。
その為か、この活動期間は2日という短い時間ながらも、約1,000人の患者の治療を無料で行っていた。受診患者数は一見多いようにも見えるが、タイ国の人口からすれば0.0015%でしかない。今後もこのような活動が、途切れることなく続いてほしいと率直に感じた。 
そして、やはり日本は豊かなのだとも改めて感じた。

トップへ戻る